オウルジャン・オズデミル医師心臓血管外科専門医
患者さん向けガイド

動くことと運動

こまめに体を動かすと、脚の血のめぐりが楽になります。下肢静脈瘤、血栓、リンパ浮腫、血管の詰まりでは、 簡単な運動とウォーキングも治療の一部です。

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自宅でできる運動

以下の動きに道具は必要ありません。痛み、息苦しさ、胸の痛みが出たときは中止して、 主治医に相談してください。

足首の曲げ伸ばし

足首の曲げ伸ばし

座った姿勢か横になった姿勢で、つま先を自分のほうへ引き寄せ、次に前へ押し出します。10-20回を、1日に数回行います。

足首まわし

足首まわし

足で空中にゆっくり円を描きます。片方向に10回、反対方向に10回行います。

つま先立ち

つま先立ち

何かにつかまってつま先立ちになり、ゆっくり戻ります。10-15回を、1日に2-3回行います。

脚上げ

脚上げ

あおむけに寝て、膝を曲げずに脚をゆっくり持ち上げ、下ろします。夕方のむくみを軽くします。

ウォーキング

ウォーキング

もっとも簡単で、もっとも効果的な運動です。毎日歩くようにしてください。

2時間に1回は姿勢を変えましょう。長時間座っている、立っている、横になっているときは、 遅くとも2時間に1回は姿勢を変えてください。立ち上がって数分歩くか、上で紹介した足首の 運動を行います。

回復を促すのは、 座ることではなく、 歩くことです。

血管の詰まりがある場合の歩行プログラム

脚の動脈が細くなっている患者さんでは、歩くとふくらはぎが痛み始め、立ち止まると治まります。 この場合、決まった計画に沿って定期的に歩くことは、歩ける距離を延ばすもっとも強力な治療の一つです。 欧州心臓病学会(ESC)の2024年ガイドラインは、監督下での運動をこうした患者さんの基本治療として 推奨しています。コクランレビューも、運動によって歩行距離が明らかに延びることを示しています。

  1. ウォームアップゆっくりしたペースで5分歩きます。
  2. 痛みが出るまで歩くふくらはぎに中程度の痛みが出るまで歩きます。
  3. 休む痛みが治まるまで立ち止まり、そのあとまた歩き始めます。
  4. くり返す合計30-45分を、週に3日以上行います。
  5. あせらず続ける効果は通常、数週間で現れ始めます。少なくとも12週間は続けてください。

善玉コレステロール(HDL)を上げるには、週に最低

0

分の早歩き、または同様の有酸素運動が必要です。

25件のランダム化試験のメタ解析:定期的な有酸素運動によりHDLは平均2.5 mg/dL上昇し、1回の運動時間が10分長くなるごとに、上昇幅は約1.4 mg/dL大きくなりました。
Kodama S et al. Effect of aerobic exercise training on serum levels of high-density lipoprotein cholesterol: a meta-analysis. Arch Intern Med 2007;167(10):999-1008. doi:10.1001/archinte.167.10.999

下肢静脈瘤・静脈不全の場合

長時間立ちっぱなし、または座りっぱなしでいると、脚に血液がたまります。日中は1時間に1回、 数分間の足首の運動とつま先立ちを行ってください。立っている時間が長くなる場合は 弾性ストッキングを使用してください。

手術後と血栓のあと

下肢静脈瘤の治療後は、当日から歩き始めることをお勧めします。詳しくは 治療後のガイドをご覧ください。深部静脈血栓症を 起こした患者さんでは、抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)の治療が始まったあとであれば、 体を動かすことは一般に安全です。脚にむくみや痛みが続く患者さんで、6か月間の運動プログラムが 症状を軽くしたことが、ランダム化試験で示されています。

リンパ浮腫の場合

リンパ浮腫があっても、運動を避ける必要はありません。乳がんのあとに腕のリンパ浮腫がある 女性では、少しずつ負荷を増やす筋力トレーニングによってむくみは増えず、むしろ悪化(症状の ぶり返し)が減ったと報告されています。運動中は圧迫着衣を身につけ、負荷はゆっくり増やして ください。

長時間の移動中

飛行機、バス、自動車での移動中は、1時間ごとに足首の曲げ伸ばしと足首まわしを行い、 機会があれば立ち上がって歩き、水分をたくさんとってください。以前に血栓を起こしたことが ある方は、移動の前に主治医に相談してください。

すぐに受診してください。片方の脚に突然のむくみ、赤み、痛みが出た場合、 突然の息苦しさや胸の痛みがある場合、足が冷たい、紫色になる、安静にしていても治まらない痛みが ある場合は、運動をやめて救急外来を受診してください。

参考文献

  1. Mazzolai L et al. 2024 ESC Guidelines for the management of peripheral arterial and aortic diseases. Eur Heart J 2024;45(36):3538-3700. doi:10.1093/eurheartj/ehae179
  2. Lane R et al. Exercise for intermittent claudication. Cochrane Database Syst Rev 2017;12(12):CD000990. doi:10.1002/14651858.CD000990.pub4
  3. Treat-Jacobson D et al. Implementation of supervised exercise therapy for patients with symptomatic peripheral artery disease: a science advisory from the American Heart Association. Circulation 2019;140(13):e700-e710. doi:10.1161/CIR.0000000000000727
  4. Kahn SR et al. Six-month exercise training program to treat post-thrombotic syndrome: a randomized controlled two-centre trial. CMAJ 2011;183(1):37-44. doi:10.1503/cmaj.100248
  5. Schmitz KH et al. Weight lifting in women with breast-cancer-related lymphedema. N Engl J Med 2009;361(7):664-673. doi:10.1056/NEJMoa0810118
  6. Kodama S et al. Effect of aerobic exercise training on serum levels of high-density lipoprotein cholesterol: a meta-analysis. Arch Intern Med 2007;167(10):999-1008. doi:10.1001/archinte.167.10.999

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